お経とどかないヂヤズの騒音

Dancecafe081226032

Information – 松浦ゆみのDinner Show

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、11月22日の稿に
11月22日、晴曇定めなし、時々雨、一流街行乞、宿は同じ事

お天気は昨日からの−正確にいへば一昨日からの−つづき、降つたり晴れたりだ、10時近くなつて、どうやら大して降りさうもないので出かける、こんな日は、ひとり火鉢をかかへて、読書と思索とに沈潜したいのだけれど、それはとうてい許されない。

草鞋ではとてもやりきれないので、昨日も今日も地下足袋を穿いたが、感じの悪い事おびただしい。
2時過ぎまで行乞、キス一杯の余裕あるだけはいただいて、地橙孫さんを訪ねる、不在、奥さんに逢つて-女中さん怪訝な顔付で呼びにいつた-ちよつと挨拶する、白状すれば、昨春御馳走になつてゐるし、そのうへ少し借りたのもそのままになつてゐる、逢うて話したいし、逢へばきまりが悪いし、といつてここへ来て黙つてゐる私の心情が許さないし、とにもかくにも地橙孫さんは尊敬すべき紳士である、私は俳人としてでなく、人間として親しみを感じてゐるのである。-略-

生きてゐることのうれしさとくるしさとを毎日感じる、同時に人間といふもののよさとわるさとを感ぜずにはゐられない、−それがルンペン生活の特権とでもいはうか、それはそれとして明日は句会だ、どうかお天気であつてほしい、好悪愛憎、我他彼比のない気分になりたい。

※表題句の外、6句、改作8句を記す

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