谺谺するほがらか

080209095

Information – 四方館のWork Shop

四方館の身体表現 -Shihohkan’s Improvisation Dance-
そのKeywordは、場面の創出。
場面の創出とは
そこへとより来たったさまざまな表象群と
そこよりさき起こり来る表象群と、を
その瞬間一挙に
まったく新たなる相貌のもとに統轄しうる
そのような磁場を生み出すことである。

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、11月28日の稿に
11月28日、晴、近郊探勝、行程3里、香春町

昨日もうららかな日和であつたが、今日はもつとほがらかなお天気である、歩いてゐて、しみじみ歩くことの幸福を感じさせられた、明夜は句会、それまで近郊を歩くつもりで、8時緑平居を出る、どうも近来、停滞し勝ちで、あんまり安易に狎れたやうである、一日歩かなければ一日の堕落だ、-略-

朝霧にほんのりと浮びあがる香春、一ノ岳二ノ岳三ノ岳の姿にもひきつけられた、ボタ山が鋭角を空へつきだしてゐる形もおもしろい、-略-

街を出はづれて、高座寺へ詣る、石寺とよばれてゐるだけに、附近には岩石が多い、梅も多い、清閑を楽しむには持つてこいの場所だ、散り残つてゐる楓の一樹二樹の風情も捨てがたいものだつた、-略-

一浴一杯、それで沢山だつた、顔面頭部の皮膚病が、孤独の憂鬱を濃くすることはするけれど。
※表題句の外、10句を記す

―表象の森― サティの音に即く

先週と今週-今日-の稽古では、高橋悠治が演奏する「サティ=ピアノ作品集3」を使って、音の刺戟に対して即くこと−音の変化転調に即応した動きの紡ぎ出し−を試みている。

このCDは「四手のためのピアノ作品集」と副題されており、ジャン・コクトーのテーマにもとづくバレエ音楽「パラード」や「梨の形をした3つの小品」、「不愉快な感じ」、「風変わりな美女-真面目な幻想-」を収録している。

その調性から外れた自由な音の連なりは、大胆な転調をいたるところに生じさせているから、その変化に即いて動きを紡ぎ出すことなど、従来の我々のWorkshopでは大きく反対の極に振れた要請ということになるから、動き手のほうは大変だ。まず呼吸の対応がどうしても瞬間的に激しくなるから、身体への負荷がまるで違ってくる。当然、動きのリズム変化も振幅の激しいものになるので、瞬間のDynamism-身体の瞬発力と即応性-がつねに準備されていなければならない。

これは、Improvisation Danceの前・準備的Workとして、かなり有効な手続きだ。今日のJunkoなど、動きのContinuityが普段見られぬほどの豊かさをみせて面白くなっていたが、そのことを指摘してみても、本人はまるで自覚がないといった躰で、ちょっと腑に落ちないというふうだった。その訳は、踊るときの本人の意識なり感覚が、いつもとは異なってやけにcoolで醒めていたからだ。この主観評価と客観評価の乖離を克服していくことが課題となるが、彼女自身、このあたりのことがどうも苦手とみえる。

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