ひとりにはなりきれない空を見あげる

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―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-27-
1月23日、雨、曇、何といふ気まぐれ日和だらう。

夜、元寛居で、稀也送別句会を開く、稀也さんは、いかにも世間慣れた-世間摺れたとは違ふ-好紳士だつた、別れるのは悲しいが、それが人生だ、よく飲んでよく話した。

  • 略-、そして稀也さんも私も酔ふた、酔ふて別れて思ひ残すことなし、よい別れだつた。

裏のおばさんに「あたたかいですね」といふと「ワクドウが水に入つたから」と答へる、熊本の老人は誰でもさういふ、ワクドウ-蟇の放言である-が水に入る-産卵のためである-、だから暖かいと理窟である、ワクドウが水に入つたから暖かいのでなくて、暖かいからワクドウが水に入るのだから、原因結果を取違へてゐるのだが、考へやうによつては、面白くないこともない、私たちはいつもしばしばかういふ錯誤をくりかへしつつあるではないか。

※表題句の外、9句を記す

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