寒空の鶏をたゝかはせてゐる

Db07050910111

※表題句は、2月1日記載の句

−世間虚仮− アメリカの貧困化

堤未果の「貧困大国アメリカⅡ」-岩波新書-を読む。

米国の構造的な貧困化問題を現場から丁寧に取材したルポではあろう。
全体を4章に分かつ。1にビジネス化した学資ローン問題、2は崩壊する年金等社会保障制度、3は医療保険問題と巨大化する医産複合体の実情、4に労働市場化していく民間刑務所の実態。

1と4が明快でストレートに分かり易いのは、構造的にあまり輻湊しないからだ。2と3は、問題の具体性はあるが、構造的問題を射程深く捉えきるには、紙数不足だろう。

1004265


−表象の森− 清代諸家-古代への憧憬-5
石川九楊編「書の宇宙-22」より

・楊峴-Yohken-1819-1896

「隷書七言聯」
楊峴の書を象徴する隷書体。力のこもった伸びやかな傑作。
小刻みに震える無限微動筆蝕によって、字画が一次元的な線ではなく二次元的な面に広がり、また三次元的に奥行をもって立体的に広がり、さらにはうねりをもって紙-対象-に堀りこむようなリアルな速度を髣髴させる。<且>の最終横画、<就>の最終画、<同>の第一画、<盡>の最終画、<我>の旁部の右ハライと左ハライ、<此>の最終画など、長く長く伸びるのが楊峴のスタイルである。<同>の潤-滲み-に対する<游>の渇-かすれ-の対比も鮮明化している。

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/且就同游盡佳客。
/我知此公無棄材。

・虚谷-Kyokoku-1821-1896

「行書五言聯」
この隷書風の書では、一つの字画を往復運動で切り削るようなリズム法が仮構されている。<石>の第一画を逆筆で起筆し、いっきに送筆・収筆まで掻き削り、それだけに終らず、隷書の波磔や右ハライのように、いったん左に戻り、ややベクトルを変えて再度ひきはらう。いわば往復書法とでもいうべきものだが、このリズム書法は、日本の戦後の書家青山杉雨らの書に継承された。

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/奇石貴一品。/好華香四時。

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