波止場、狂人もゐる

Santouka081130023


−日々余話− 今月もまた‥

見てのごとく、今月も石川九楊の書史論ばかりが並ぶ。
「日本書史」は2001年9月刊、翌年の毎日出版文化賞
彼はその序章の小論で「途中乗車し、途中下車した」日本の書史と、ユニーク且つ些かセンセーショナルな言い方をしている。
曰く「日本の書史は、中国を厚みと高さと広がりとする書史に楷行草の時代から途中乗車し、やがて日本は東アジア諸国ではいち早く近代化を達成することによって、また、書史からもいち早く途中下車したのである」と。

−今月の購入本−
石川九楊「日本書史」名古屋大学出版会

−図書館からの借本−
石川九楊編「書の宇宙 -19-変相の様式・流儀書道」二玄社
石川九楊編「書の宇宙 -20-近大への序曲・儒者.僧侶.俳人二玄社
石川九楊編「書の宇宙 -21-さまざまな到達・清代諸家?」二玄社
石川九楊編「書の宇宙 -22-古代への憧憬・清代諸家?」二玄社
石川九楊編「書の宇宙 -23-一寸四方のひろがり・明清篆刻二玄社
石川九楊編「書の宇宙 -24-書の近代の可能性・明治前後」二玄社


―山頭火の一句― 行乞記再び -45-
陰暦元旦、春が近いといふよりも春が来たやうなお天気である。

今日も食べるに心配はなくて、かへつて飲める喜びがある、無関心を通り越して呆心気分でぶらぶら歩きまはる、9時すぎから3時まへまで-十返花さんは出勤-。

諏訪公園-図書館でたまたま九州新聞を読んで望郷の念に駆られたり、鳩を観て羨ましがつたり、悲しんだり、水筒−正確にいへば酒筒だ−に舌鼓をうったり‥-。

波止場-出船の音、波音、人声、老弱男女-。
浜ノ町-買ひたいものもないが、買ふ銭もない、ただ観てあるく-。
ノンキの底からサミシサが湧いてくる、いや滲み出てくる。
上から下までみんな借物だ、着物もトンビも下駄も、しかし利休帽は俊和尚のもの、眼鏡だけは私のもの。-略-

長崎の銀座、いちばん賑やかな場所はどこですか、どうゆきますか、と行人に訊ねたら、浜ノ町でしようね、ここから下つて上つてそして行きなさいと教へられた、石をしきつめた街を上つて下つて、そして下つて上つて、そしてまた上つて下つて、−そこに長崎情調がある、山につきあたっても、或は海べりへ出ても。-略-

灯火のうつくしさ、灯火の海-東洋では香港につぐ港の美景であるといはれてゐる-。

※表題句の外、句作なし

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Photo/諏訪神社全景

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Photo/諏訪公園は長崎公演とも呼ばれる

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Photo/明治中頃の浜ノ町

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Photo/長崎の夜景

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