まへにうしろに海見える草で寝そべる

080209207

−表象の森− 書の近代の可能性・明治前後-4-
石川九楊編「書の宇宙-24」より

中林梧竹寒山詩
70歳代後半から80歳代前半に中村梧竹の書は姿を変えるが、その時期を代表する作。

王羲之十七帖の臨書は、構成は草書体であるにもかかわらず、筆蝕は楷書的・行書的に書かれていた。その構成と筆蝕の落差に、凛と張りつめた表現世界が成立していたが、このころになると草書体の速度と流れに従う度合いを強める。このため求心力をもったつややかな筆蝕は犠牲にされたが、代って構成は自由奔放さを高めた。

中林梧竹の書に対する斎藤茂吉の評「天馬空を行く勢い」とは、この書のような姿をさすのであろう。軽みを伴った<寒山><微風><吹幽><聲><斑白><老十年>のなどの表現の登場が、この時期の達成である

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/欲得安心處。寒山可/長保。微風吹幽松。近聽
/聲愈好。門有斑白人。/喃〃讀黄老。十年歸
/不得。忘却來時道。   /八十叟。梧竹。



―山頭火の一句―
行乞記再び -50-
2月11日、快晴、小浜町行乞、宿は同前。

日本晴、朝湯、行乞4時間、竹輪で三杯。

水の豊富なのはうれしい、そしてうまい、栓をひねつたままにしていつも溢れて流れてゐる、そこにもここにも。
よい一日よい一夜だつた。

※句作なし、表題句は2月7日付所収の句

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Photo/長崎県雲仙市小浜温泉の全景

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Photo/国道57号線沿に、湧出温度100°の湯煙が空高く涌き立つ姿が見られる

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