寺から寺へ葛かづら

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−日々余話− 交通検察と副検事

副検事という職掌も、てっきり司法試験合格によってなるものだと思いこんでいたところ、ごく最近、そうではないと知って、なんだか腑に落ちたような気分になっている。

検察庁法で定められた「副検事選考試験」なるものがあり、その受験資格が検察庁法施行令第2条に細かく列記されているが、要するに関係各庁からの内部昇格試験のようなもので、実際の受験者は殆どが検察事務官、次いで裁判所書記官だという。

現在、といっても'06年の数値だそうだが、検事が全国に1365名、副検事が同じく826名、他に副検事から昇格する仕組みの特任検事-検事2級-と呼ばれるものがあり、これはたった44名。ちなみにテレビの「赤かぶ検事」はこの特任検事だった。
これに対し、弁護士の場合、今年の4月現在、全国に28,828名、うち女性4,671名とあり、なんと検察官の13倍弱も居ることになる。ただ、弁護士の大都市圏集中が近年問題になってきたように、東京の登録者が13,823名、大阪で3,584名となっており、両者で60%を超えるという偏在ぶりを示している。

「加害者天国ニッポン」というサイトがある。主宰の松本誠は交通事故被害者の支援活動を熱心に取り組んできた弁護士だが、'07年6月、JR列車事故で急逝している。遺書はないが所轄の尼崎北署では自殺と判断されており、動機など真相は藪の中のまま、不審死というのがなんだか気にかかる。

それはともかく、彼の解説によると、交通検察のあり方は1986-S61-年を境に大きく変化したという。検察の制度改革で、それまで交通部だけでなく刑事部にも配属されていた副検事が、交通部に集中配備されるようになり、交通事犯の起訴率が急カーブで減少していったらしい。以前は、一般犯罪と同じ73%だったのが今や12%にまで減少している、とこう書かれたのが、すでに5年前の平成17年だから、おそらく現在では10%を切っていることだろう。
検察へ送検された交通事故事案の9割が不起訴となり、起訴とはいえその9割が略式起訴、公判請求され刑事裁判となるのは全事案の1%に過ぎない。

こういう実態となれば、検察の取り調べというのも、単なる書面主義なのは当然で、副検事という職務は法曹なんぞではなく、ただの事務屋に過ぎないと言えようか。
この1年余り、私が接してきたあのお二人さんも、なんのことはないただの事務屋さんだった訳だ。


―山頭火の一句― 行乞記再び -51-
2月12日、けふも日本晴、まるで春、行程5里、海ぞひのうつくしい道だつた、加津佐町、太田屋

此町は予想しない場所だつた、町としても風景としてもよい、海岸一帯、岩戸山、等、等。
途中、折々榕樹を見出した、また唐茄子の赤い実が眼についた。

水月円通寺跡、大智禅師墓碑、そしてキリシタン墓碑、コレジョ-キリシタン学校-跡もある。

※句作なし、表題句は2月4日の句

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Photo/花房の棚田から加津佐町を望む

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Photo/加津佐町の岩戸山

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Photo/コレジョ跡

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