旅は道づれの不景気話が尽きない

080209297

−表象の森− 書の近代の可能性・明治前後-6-
石川九楊編「書の宇宙-24」より

副島種臣弘文天皇御製」
筆尖を刀の切先-鋒-のように尖らし、静かにしかし鋭く斬り込み、本文中では強く深く、しかしゆったりと削るように書き綴っていき、落款部で切先で鋭く切り削っていく。その書きぶり-筆蝕-に緊張感と気品が漂う。
流麗さも併せ持つ作である。<地>のゆったり、たっぷりとした最終画の書きぶり、<弘文天皇御製>の御身の厳しく目まぐるしい筆蝕展開が、見所である。

2409

/皇明輝日月。帝徳戴/天地。三才並泰昌。萬國/表臣儀。
/右弘文天皇御製。/臣副島種臣謹書


副島種臣「五言古詩」
楷書の作。字体的には楷書から崩れているが、書きぶりから言えば、一画々々を微塵の揺るぎもなく積み上げていく楷書体。もしも楷書を、一画々々を組合わせて揺るぎない文字を構築した書体と定義づけるなら、副島種臣は日本書史上で唯一、楷書を書き得た人物である。
字体的には<爲>など草書体も混じるが、書体的には六朝期の龍門造像記などの石刻楷書のごとき石を砕く趣をもち、紙に書いているというよりも、むしろ右に刻っていると感じさせる書である。
冒頭の<輜車駕白馬>、いずれも転折部で筆が改められるが、これは筆毫の無法な展開を阻むためと、北魏などの六朝石刻文字に学んだ書法でもある。

2410

/輜車駕白馬。從御爲蠔徊。銘旌老/叔書。當察臨筆哀。甚惜雄毅姿。去/趨長夜臺。古人謂命也。不止哭顔回。儻/見天主者。試願磊落才。彼奪生前/福。而樂身後災。是亦□賊耳。窮/詰勿屈哉。 /滄海老人副島種臣草。


―山頭火の一句― 行乞記再び -55-
2月16日、行程3里、島原町、坂本屋

さつそく緑平老からの来信をうけとる、その温情が身心にしみわたる、彼の心がそのまま私の心にぶつかつたやうに感動する。

※句作なし、表題句は2月3日の句

05103

Photo/島原城の西側、鉄砲町に残る武家屋敷街の跡

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