2006-01-01から1年間の記事一覧

夢かさは野べの千草の面影は‥‥

−表象の森− はじまりのひろがり はじめからやりなおすことの利点。 はじまりの地点にはひろがりがある。 どの方向でもいい。最初の枝とおなじ方向にすすむとしても、 それはおなじ流れをつくらない。ちがう時間がちがう流れをつくり、 前の流れからいつかそ…

ふるさとは浅茅がすゑになりはてて‥‥

−表象の森− 「塔に幽閉された王子」のパラドックス「三島由紀夫」とはなにものだったのか−橋本治著−を少し前に読んだ、 文庫にして470頁余とこの長大な三島由紀夫論は、三島の殆どの作品を視野に入れて、堂々めぐりのごとく同心円上を螺旋様に展開して、作家…

幾夜経て後か忘れむ散りぬべき‥‥

−世間虚仮− 今朝の見出し ◇意識不明 6時間放置−妊婦転送 18病院拒否−奈良 分娩中に意識不明に陥った妊婦に対し適切な処置ができず、受入れ先を打診した18病院にも拒否され、県外60キロの吹田市にある国立循環器病センターに収容、脳内出血と帝王切開の手術を…

忘れずよ朝浄めする殿守の‥‥

−四方のたより− 行き交う人びと−河野二久物語河野二久とは小学校時代の恩師である。5年と6年の担任だった。当時のことだから旧師範を出た若い先生で、26.7歳だったであろうか。来春早々の誕生日で満77歳になるというので、このほど喜寿を寿ぎ同窓の集いをす…

ものおもはでかかる露やは袖に置く‥‥

−表象の森− 「津島家の人びと」津島家とは太宰治(本名-津島修治)の実家である。あの斜陽館は太宰の父・津島源右衛門が明治40(1907)年に当時の贅を尽くして建てた邸宅だ。 「津島家の人びと」(ちくま学芸文庫)は、1868年の明治維新を遡ること100年ほど、金貸…

かひもなし問へど白玉乱れつつ‥‥

−世間虚仮− 同窓会二題今朝、やっと小学校時代の同窓会案内を郵送した。 高校(市岡高校15期)の同窓会案内を作り送付したのは先月の下旬だった。此方の開催は12月3日でまだまだ先のことだけれど、従来の趣向を変えて些か取組み難いバスツアーとしたので、極力…

起きわびぬ長き夜あかぬ黒髪の‥‥

−表象の森− フロイト=ラカン:「主体」と「自我」、「鏡像段階」と「ナルシシズム」 ――Memo:新宮一成・立木康介編「フロイト=ラカン」講談社より 「主体」⇔「自我」 ・社会的存在としての人間は、言語の場である象徴界−大文字の世界−において自らを確立し…

萩の露けさも干しあへぬ袖にしも‥‥

−四方のたより− 脱皮せよ、松浦ゆみ歌手松浦ゆみのデイナーショーにお招ばれしていたのでヒルトン大阪に行ってきた。 従来、客の立場で観たことはなかったから、観ながらいろいろ考えさせられた。 本来はポップス、それもオールディーズポップスを得意レパー…

秋萩をいろどる風は吹きぬとも‥‥

−表象の森− 他者による顕身前回(10/2)、「顕つ/顕われる」という語について書いた。市川浩が著わした「現代芸術の地平」には、「他者による顕身」と題された、演出家・鈴木忠志の方法論的根拠によく肉薄した一文がある。「顕身」なるコトバもまたいずれの…

夜半に鳴く雁の涙はおかねども‥‥

−四方のたより− 朝刊配達を「行」としてみるか 早朝、というよりは深夜の2時25分、いつものように携帯のアラームが鳴った。 今日はいつになく身体が重くけだるい。そういえばこの二、三日はとくに寝不足だ。 身を起こそうとするがすっと力が入らない感じ。右…

人はいさわれは春日のしのすすき‥‥

−世間虚仮− 蔓延する偽装請負に事業停止平成11(1999)年12月の改定施行で、従来の職種制限を取っ払ってしまい、港湾運送業務・建設業務・警備業務・医療関係業務の4つを除き原則自由化された「派遣業法」は、さまざまな業種のなかで、実態は派遣労働にすぎな…

あはれさもその色となき夕暮の

−表象の森− 顕つ/顕れる「歌詠みの世界」として紹介している塚本邦雄の「清唱千首」では、「顕」という字に送り仮名して「顕つ−タツ」、や「顕れる−アラワレル」の語がよく用いられている。 すでに紹介したなかからざっと列挙すれば <顕つ> 「恋い祈れば…

けさ見ればうつろひにけり女郎花‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café−今宵(9/28)は、久しぶりのダンスカフェ。 このところの杉谷君、そのピアノの即興演奏は進境著しい変容ぶりをみせ、付き合っていてとても愉しい思いをさせてもらっている。 昨年暮れ頃からだと思うが、音世界に遊ぶというか…

寝られめやわが身ふる枝の真萩原‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −表象の森− フロイト=ラカン:「一の線」と「対象a」 ――Memo:新宮一成・立木康介編「フロイト=ラカン」講談社より 「一の線」⇔「唯一特徴」 ・「私を見ている目がどこかに在る」という、「私を見ている目」の在り場所は、 神の…

夏の日の燃ゆるわが身のわびしさに‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −表象の森− フロイト=ラカン:「他者の語らい」⇔「無意識」 ――Memo:新宮一成・立木康介編「フロイト=ラカン」講談社より ・「人の欲望は他者の欲望である」 人間の欲望は、内部から自然と湧き上がってくるようなものでは…

ゐても恋ひ臥しても恋ふるかひもなみ‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −世間虚仮− 紙面トップに「求む住職」イヤハヤ、今朝の毎日新聞の紙面トップには驚かされた。 記事はご覧のとおり、禅僧の求人? 僧侶の後継者難に業を煮やした臨済宗妙心寺派が、従前必須の修業期間を格段にコンパクトに…

かつ見つつ影離れゆく水の面に‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −表象の森− ラカンからフロイトへ遡る・近代の頂点で「神は死んだ」と語った人がいた。 代わって人間の理性が、神の不在の場所を覆うはずだった。 しかし、理性は必ずしもその任に堪えないことが判明しはじめた。 その一方…

潮満てば水沫に浮かぶ細砂にも‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −世間虚仮− ヒトというもののくだらなさ この国の宰相ともなる御仁が、その政策提言に「美しい国へ」などと陳腐この上ない言辞を弄して国民に媚びようとオプティミストぶりを発揮すれば、世間は6割を越えてこれを支持する…

知らずその逢瀬やいつの水無瀬川‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −四方のたより− きしもと学舎だより06.09カースト制度が色濃く残るネパールのポカラで、学校に行けない子どもらに無償で学ぶ場を提供しつづけている、車椅子の詩人・岸本康弘さんから、今年も「学舎だより」が届いた。 こ…

人言を繁み言痛みおのが世に‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −世間虚仮− 普及率0.7%の住基カード平成15年8月25日、この日が何の日だったかといえば、総務省の音頭で住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)が作られ、われわれ国民全員に11桁の番号(住民票コード)が割り振られた日であ…

心から浮きたる舟に乗りそめて‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −表象の森− U.エーコの「美の歴史」 近頃、型破りでかつ重厚な一冊の美術書に出会った。 表紙裏の扉には、以下のような言葉が踊っている。 <美>とはなにか? 絶対かつ完璧な<美>は存在するのか? <真><善>、<聖>…

大き海の水底深く思ひつつ‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −世間虚仮− 安部晋三の器量器量というのは、顔立ちや容貌のことでもあるが、第一義には、その地位・役目にふさわしい才能や人徳、いわゆるその人の器であり度量をさす言葉だろう。 安部晋三は、たしかに甘いマスクだし、彼…

幾夜われ波にしをれて貴船川‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −四方のたより− 大阪野外演劇フェスティバル今年も劇団犯罪友の会など関西野外演劇連絡協議会に参集する劇団たちが、9月から11月初旬まで、大阪野外演劇フェスティバルで競い合う。 参加の劇団各々が、思い思いに独自の仮…

風早き響の灘の舟よりも‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −世間虚仮− 自衛官に軍人恩給?防衛庁が退職自衛官に戦前の軍人恩給にも似た制度の導入を進めようとしている、との報道にわが眼を疑うばかりに驚かされた。 自衛官は国家公務員だから共済年金だが、これに上積みする年金制…

瑠璃草の葉に置く露の玉をさへ‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −表象の森− 中原喜郎展とイサム・ノグチと速水御舟 滋賀県立近代美術館へと家族を伴って出かけた。 先ずは中原喜郎個展のギャラリーへ。今日が初日の会場にはもちろん中原兄の姿があった。 作品は40点余りだが、例年に比べ…

しるべせよ送る心の帰るさも‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −表象の森− 貝の文化と羊の文化京劇が専門だという著者、加藤徹の「貝と羊の中国人」新潮新書。 任期満了でやっと退陣する小泉首相の靖国参拝への頑なな執着で、この数年、中国からの批判がずいぶん過熱したものだったが、…

おほかたの秋の空だに侘しきに‥‥

Information−Shihohkan Dace-Café− −四方のたより− 中原喜郎個展この時期、例によって、中原喜郎さんの個展の案内が届いた。 会期は明日12日(火)から18日(祝)まで、場所は滋賀県立近代美術館ギャラリー。 いつものように、いつものところで、判で押したよう…

武蔵野や行けども秋の果てぞなき‥‥

Shihohkan Dace-Café −表象の森− ハードル走者・為末大の進化論 世界陸上競技界の第一線で活躍するハードル走者・為末大の「ハードラー進化論」というとてもいい一文を読んだ。 ハードラー−Hurdler−とはハードルの走者、つまりは為末大自身のことだ。 毎日新…

秋の夜の霧立ちわたりおぼろかに‥‥

−四方のたより− ひさしぶりにDance-Café ひさしぶりに「四方館DanceCafe」開催のご案内。 今年4月27日以来だから5ヶ月ぶりだ。 今回のタイトルは、 Chant d'automne ――秋の歌―― とした。 「秋の日のヴィオロンの‥」 と歌ったは、彼のヴェルレーヌだが ボード…

虫の思ひ鹿の鳴く音もふるさとに‥‥

−表象の森− 承前・折口信夫「死者の書」と「大津皇子−鎮魂と飛翔」 想い出の舞台「大津皇子−鎮魂と飛翔」、 その構成は2部8章、これを資料に基づいて以下転載する。 ※ 写真はまだ30代だった筆者、場面は「二上山の章−死者と生者の相交」より。 一部<磐余の…