2008-01-01から1年間の記事一覧

樫檜山家の体を木の葉降

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―表象の森― 近代文学、その人と作品 -3- 吉本隆明「日本近代文学の名作」を読む。・江戸川乱歩と「陰獣」 「陰獣」は乱歩の他の作品と同じく、仮面を巧妙に生かした小説だ。この作品のきわだった特徴…

冬の朝日のあはれなりけり

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―四方のたより― 窮鳥懐に入らずんば昨日は稽古場で、ARISAの幼い頃からの舞踊歴というか研究所歴といったものを、あらまし本人から聞いた。今日は弁天オーク200の喫茶店で、ARISAのお母さんから現在…

霜月や鸛の彳々ならびゐて

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― イタリアでも市民記者が綴るNews SiteにJanJanニュースというのがある。 イタリア在住で翻訳に携わるという日本人女性の伝えるところによると、近年この国でも日本同様、貧困格差問題が深…

枕もちて月のよい寺に泊りに来る

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―山頭火の一句―「大正14-1925-年2月、いよいよ出家得度して、肥後の片田舎なる味取観音堂堂守となったが、それはまことに山林独住の、しづかといへばしづかな、さびしいとおもへばさびしい生活であっ…

ねられぬ夢を責るむら雨

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― 台風とドル破綻の嵐と…10月も最終週に入ろうとして、列島を掠っていったものはあったものの、今年、台風は一度も本土上陸をしていない。このままいくと、統計を始めた1951-S26-年以来、4…

北のかたなくなく簾おしやりて

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―表象の森― 場違いなアトピー「アトピー」という語は、「ア・トポス」からきたそうな。 人間に特有な遺伝性過敏性症候群なるアトピーが、トポス-場所-と関係のある語だとは、いかにも意外である。 「…

狩衣の下に鎧ふ春風

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―表象の森― 近代文学、その人と作品 -2-吉本隆明「日本近代文学の名作」を読む。森鴎外と「高瀬舟」 文学者としての鴎外は、生涯素人であるかのように、自分で抑制してなるべくprofessionalとして振…

粥すゝるあかつき花にかしこまり

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―表象の森― 近代文学、その人と作品一昨夜、昨夜と、よほど疲れていたのか、貪るほどに眠った。 9月9日の夜、RYOUKOがその生死を以て私の胸中深く飛び込んできて以来、すでに40数日‥。吉本隆明「日本…

泥にこゝろのきよき芹の根

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― Soulful Days-15- ある朝突然に今朝、すでに返本期限が過ぎてしまっていた李禹煥の「時の震え」-みすず書房刊-、60年代末から現代美術における「もの派」を理論的に主導してきた著者が折…

いがきして誰ともしらぬ人の像

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― 蟹工船ブームで‥文化後援会-大阪文化日本共産党後援会-という名称で私宛に時折送られてくる書面に、このたびは何故だか連合い殿と連署になっていたのが目に付き、少しばかり怪訝な気持に…

雲かうばしき南京の地

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―表象の森― 宇目の唄げんか大分県の豊後大野と宮崎県の延岡を結ぶ国道326号線沿の県境近く、宇目町-現・佐伯市宇目町-の北川ダムに架けられたずいぶんモダンなPC斜張橋を「唄げんか大橋」というそう…

寅の日の旦を鍛治の急起て

NFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―表象の森― この母と、この子藤原書店の別冊「環」シリーズ「子守唄よ,甦れ」-05年5月刊-を読む。「暗きより暗きに移るこの身をばこのまま救う松かげの月」松永伍一の「日本の子守唄」-1964年初刊-が…

つゞみ手向る弁慶の宮

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―四方のたより― ポカラ・きしもと学舎だより先月中旬の発行の筈だった「きしもと学舎の会だより」-Vol.10-を1ヶ月遅れでやっと仕上げ、どうにか発送にこぎつけた。これも突然降りかかった悲劇の所為…

はやり来て撫子かざる正月に

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― タイ政府与党解党か?米国初の金融危機から世界同時株安の震撼と日本人のノーベル賞連続受賞などで沸き返る一週間だったが、11日-土曜-の記事で、タイの最高検が最大与党「国民の力党」に…

釣瓶に粟をあらふ日のくれ

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― Soulful Days-14- ヒロイズムと‥事故の起きた9月9日の夜から、ひと月と1日が経った。 明日はもう四七日。RYOUKOの母親、つまり嘗ての細君という人は、激しいほどにheroismの人、女性だか…

賤の家に賢なる女見てかへる

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― 近しさという保障昨日の昼、ちょうど12時頃だったろう、ベランダの外から不意に「お父さぁーん」と声がした。KAORUKOの声に似ているが、学校に居るのだから違うんじゃないかとは思いつつ…

蘭のあぶらに〆木うつ音

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―四方のたより― ご免なさい、おケイさんアーア、またも失敗である。 こんどこそ是非この機会にと思っていた、河東けいさんのひとり芝居「母」を、またも見逃してしまった。ワーキングプアの社会問題…

西南に桂のはなのつぼむとき

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― 雨に流れた運動会一昨日の日曜日の、生憎の雨で流れた運動会が、代休の昨日を挟んで、今日行われた。平日開催にもかかわらず、客席に父母たちが多いのは意外だったし、7時半の開門前、場…

なかだちそむる七夕のつま

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―四方のたより― 心機一転観客といっても30名弱ばかり、そんなささやかな会といえど会は会、 先週のDanceCafeも一つの上演機会とあれば、その経験は人それぞれに見逃せない効をもつ筈である。 まして…

八十年を三つ見る童母もちて

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― Soulful days -13- 「倶会一処」という言葉がある。今日はRYOUKOの三七日だったが、七日のお参りにきてくれている麻生さんから先週の二七日の折に紹介されたものである。真宗では、念仏の…

宣旨かしこく釵を鋳る

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― Soulful days -12- 事故当夜からRYOUKOの死に至るまで、そして現在に至るも、我々家族と直々に顔を合わすことのなかった相手方運転手に怒りの書面を送り付けたのは、葬儀も終えて1週間が…

白燕濁らぬ水に羽を洗ひ

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」 ―世間虚仮― Soulful days -11- 不慮の死と、山頭火台風一過の所為か、昨日も今日も、どこまでも蒼穹の空、まさに秋天といった趣で、この澄みきった空の如、心も晴れわたれば言うことなしなのだが、…

僧ものいはず款冬を呑

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」―世間虚仮― かしこくも御名御璽‥昨日の麻生首相、その所信表明の演説を、夕刊で読んだ時は、冒頭から吃驚、ブッ魂消て、「なんだ、これは!」と一瞬新聞を放り出してしまった。ずいぶんと物議をかも…

はなに泣桜の黴とすてにける

INFORMATION 林田鉄のひとり語り「うしろすがたの山頭火」 ―四方のたより― 昨日、今日、明日秋とは名ばかりで真夏日が執拗に続いた残暑も彼岸が過ぎて、このところぐんと気温が下がり本格的な秋の到来だが、この季節の変わり目は小児喘息とアレルギー疾患を…

冬まつ納豆たたくなるべし

Information<四方館 Dance Cafe>「KASANE 2008 –襲Vol.?-」 愈々本日夕、Free Space MULASIA, Kujyo 匂ふより春は暮れゆく山吹の 花こそ花のなかにつらけれ 定家 春ならば、桜萌黄や山吹か 藤や桜や牡丹花 秋や秋、月に桔梗や女郎花 紅葉、白菊、萩重 夏は…

霧下りて本郷の鐘七つきく

Information<四方館 Dance Cafe>―世間虚仮― 岡田昭三の憤死 Soulful days -9-岡田昭三君の急死を私が知ったのは8月31日の日曜日だった。通夜がその前の木曜日-8/28-、本葬がその翌日執り行われたというその死は8月26日であった。昭和26年生れの享年57歳、…

血刀かくす月の暗きに

Information<四方館 Dance Cafe>―世間虚仮― Soulful days -8-交通事故というもの、どんな場合も偶然に満ちたものであり、僅かなスキ、ほんの些細なミスから起こるもので、運転手双方に故意はまったくないものだから、事故当初から、その甲乙いずれに対して…

門守の翁に帋子かりて寝る

Information<四方館 Dance Cafe>―四方のたより― 稽古も酣昨日-23日-は、21日の日曜につづいて稽古。 21日が、谷田順子さんの気功ワークの2回目で、前回同様3時間ほどを要したから、「襲?」へと向けた本格的な稽古は、今日かぎり、Dancerたちそれぞれ、どん…

火おかぬ火燵なき人を見む

Information<四方館 Dance Cafe>―表象の森― シャガール展久しぶりに霽れた秋空にそぞろ誘われたわけではなく、また気鬱ばらしというわけでもないのだが、偶さか連合いも月休とあって、シャガール展を観に兵庫県立美術館に行ってきた。昔、京都で観た「シャ…

捨られてくねるか鴛の離れ鳥

Information<四方館 Dance Cafe>―世間虚仮― Soulful days -7-「3人の兄と、ひとりの妹へ」電話にてお知らせしようと思いましたが、書面FAXにて連絡するほうが、事態の流れをより正確に遺漏なく伝えられるかと思い直し、文章にしています。RYOUKOのことです…